Quantum of Solace@ゴールウェイ

今日も映画を見に行ってきました。
映画のタイトルは「Quantum of Solace」邦題は「007/慰めの報酬」。
007シリーズはPierce Brosnanが主演を務めていたシリーズから見始めました。
今回の作品は主演がDaniel Craigに変わってからの2作目になります。
さて、本編ですが、何を言ってるのかさっぱり?な為、物語については語る事がありません。
しかし、Daniel Craigはいい。彼の演技は、ゴルゴ13のデューク・東郷を彷彿とさせます。表情の変化を意図的に押さえているのでしょう。しかし観客には彼の心情が伝わってくるのです。これがPierce Brosnanでは、スカした感じが漂ってしまって緊迫感がありません。
それはさておき、007シリーズの見所である、アクションシーンはすばらしいスピード感をもって視覚を刺激します。
数あるアクションシーンの中でも印象に残るのは。敵が操作するアルファロメオが対向車に衝突するシーン。もちろん衝突シーンなどそう珍しくはないでしょう。しかし、この作品では、衝突に至るまでの過程をギュッと圧縮しているのです。つまり、衝突という派手なシーンを印象づける為に、間延びさせる演出方法をあえてとらず、一瞬で通り過ぎて行く演出に感心を覚えます。また音響演出として、衝突音やクラクション叫び、タイヤのスキール音などを、カットとより密接に結びつける為に音量だけでなく、収録時にマイクの距離や空間の広さをコントロールしているのでしょう。これらの作用によって、非常にスピーディーかつ緊迫感あふれるカーアクションを見せてくれます。私はあまりのスピード感に心拍数がガツンとあがっていました。おそらくこのカットを設計したディレクターは手練です。
また、この作品、伏線の張り方が上手です。
ボンドが過酷な状況に追い込まれるとき、必ず前のシーンにそれをにおわせるカットを挟みます。この演出により上映中観客は惑われる事がありません。まさにキャメラのカットは神の視点であること踏まえて画面を設計しているのでしょう。
この作品を見ると、映画には設計図がある事を強く意識させられます。おそらく撮影前にかっちりと設計が出来ていたのでしょう。この作品はややこしいところがありません。話の筋はまったく追う事ができなかった割には、密度の高い時間を過ごす事が出来ました。
ただ一つ難癖をつけるならば、ラストのシーン。Mとボンドが雪のちらつく野外で会話を始めます。しかし、彼らの息はまったく白く映りません。寒さを演出する為に、丈の長いコートに手袋を装備するも、寒さがカットから伝わりません。このカットはあえて息を白くしなかったのかもしれません、例えば、吐息が顔にかかって表情を曇らせてしまうなどの問題などが考えられます。しかしながら、それを知る由もないので、この点だけは気になって仕方がありませんでした。