マンマ・ミーア!@ゴールウェイ

今日はアイルランドに来て初めて映画館に行きました。
場所はステイ先から徒歩10分ほどの場所にあるEyeCINEMA。シネマコンプレックスと呼ばれる、一つの映画館の中に複数の劇場を備えた施設です。海外研修では機会があれば映画館に入り浸ろうと思っていたので好都合でした。
上映料金は大人7.25ユーロ。日本円にして約1000円位(1ユーロ130円換算)。日本の標準的な上映料金である1800円から比べると、安いと言えます。
さて、アイルランドで初めて見た記念すべき映画版のマンマ・ミーア!について。
マンマ・ミーア!は、70年代ブロードウェイのミュージカルとして誕生し、日本にも輸入された作品です。しかし、私はマンマ・ミーア!という言葉は聞いた事があっても、内容については私は全く知りませんでした。そこで、簡単に調べてみると、70年代世界を席巻した音楽グループ、ABBAのヒット曲を使って家族愛を描いた物語とのことです。私は洋楽に疎いのですが、ABBAは日本のドラマなどで挿入歌として用いられており、耳にした事のある曲が多く使われていました。
肝心のストーリーについては、全編英語であるため、幹をつかむのがやっとであって、枝葉の部分はさっぱりです。正直、この2週間で私の聞き取り能力と理解力が向上した、とは残念ながら言えません。
そこで、なぜ幹をつかむ事ができたのかと考えてみると、それは単純にミュージカル形式だったからと言えます。しかしながら、いくらミュージカル形式だからといって、言葉の通じない相手にストーリの流れを理解させるという事は、制作者側に相当な技術が要求されるはずです。
そこでおそらく活用されたのは、映像の知識です。誰がはじめ言い出したのかは忘れてしまいましたが、映像には文法が存在するとの事です。私たちは映像を見ると無意識に、この文法をなぞりながら映画を見ています。アクションやドラマ、ドキュメンタリーなどそれぞれに特有の文法が存在します。
私は、これらの文法を無意識に学習した結果、言葉は断片的にしか理解できなくても、大筋を追う事ができたのでしょう。
これまで私は、ミュージカルを好んで鑑賞した事はありません。しかしながら、感情表現を文脈だけではなく、全身を使って表現すること。それは悲しければ塞ぎ込み、うれしければ踊ると言った非常に単純な表現が用いられている事がミュージカルのすばらしさだと思います。
本作品では、それらに加えて、躍動感あふれる役者の演技を軽快なキャメラワークでとらえる監督の手腕も見所です。またなんと言っても、ABBAの音楽とともに広がりを見せる展開も、はっきりと陰影が付けられているので観客を飽きさせません。
吹き替えも字幕もなしに見た映画がマンマ・ミーア!で本当に幸いでした。
全身を使って、感情を表現する事、それは言語の壁を越える力があると私は思います。

上映終了後、私以外は誰もいない劇場での一枚